転売ヤーの難しい話
転売ヤーって色んなジャンルで存在してますよね。
その界隈から憎まれても減ることなく、しまいには
「せどり」とかいう名前に変えて副業としてまで出つつある。
欲しい人以外に転売目的で買う人のせいでその物が手に入らないのは非常に腹が立ちます。
でもこの「転売」は法に触れる行為ではないのか?
素人知識ですが考えてみます
1. 独禁法違反ではないのか
まずはここから攻めていきます。
そもそも独占禁止法というのは基本的には巨大企業が中小企業に対して優越した立ち位置を利用して悪さをしていないか?とか、一部の企業が他の追従を許さない状態を作り、その市場において寡占状態になってないか?や、企業同士が話し合って市場の金額を均一化したり不当に吊り上げたり下げたりしていないか?と言った部分です。
簡単にいうと
「個人レベル」にはあまり使えない
さらに、一部の中古品販売業者が高額転売をしていても、高額転売を利用して市場シェアを寡占していない限りは問題とはなりません。
逆に価格を下げまくるのは「不当廉売」といって問題となる可能性があります。
ただどれも「市場」というものを見据えて考えるものが多く、不特定多数の行為による品薄状態は、独占禁止法では対応が難しいと言えます。
そもそも論、転売ヤーが数万人単位で繋がっていたらまだしも、個人レベルや精々数人レベルのものが多いので、経済活動の制限は行えないでしょう。
独占禁止法第2条第9項第3号
「不当廉売の禁止」
次の行為を禁止する
1
正当な理由がないのに,商品又は役務をその供給に要する費用を著しく下回る対価で継続して供給することであつて,他の事業者の事業活動を困難にさせるおそれがあるもの
独占禁止法第1条
「目的」
この法律は、私的独占、不当な取引制限及び不公正な取引方法を禁止し、事業支配力の過度の集中を防止して、結合、協定等の方法による生産、販売、価格、技術等の不当な制限その他一切の事業活動の不当な拘束を排除することにより、公正且つ自由な競争を促進し、事業者の創意を発揮させ、事業活動を盛んにし、雇傭及び国民実所得の水準を高め、以て、一般消費者の利益を確保するとともに、国民経済の民主的で健全な発達を促進することを目的とする。
2. 民法の契約としての対処
では民法ではどうか。
そもそも転売ヤーだからって契約なしに物を手に入れている訳ないので。
何かを購入する時は必ず「売買契約」というものを両者で締結して取引されます。
コンビニとかスーパーでレジピしてお金払うだけでも民法上「売買契約」を結んでいるのです。
通例で契約書もなく済ませているので、実感は湧かないかもしれませんがね。
話を戻すと、転売ヤーだからってその物はどこかで購入しているのです。
個人レベルの転売ヤーはAmazon等の通販サイトか、小売店で買うだろうし、店レベルではメーカーから買うでしょう(新品を正規ルートで購入して転売をするとなるとかなりグレーな感じもしますが……)。
その小売店などが「転売目的の購入を禁止する」旨意思表示をおこなっている状態で、転売ヤーが転売を行えば、空論上では店側が転売ヤーを訴えることができるはず……
もっとも、店はその区別をつけるのが難しいだけでなく、訴訟費用を払う義理もないことが多いので
これでは根本的解決には至りませんね。
では、メーカー→小売店単位で転売するなというのは??
これはメーカー側に法的問題が生まれる可能性があります。
独占禁止法の「再販売価格の拘束禁止」です。
ちょっと条文出すのめんどくなってきたのでググって下さい。
ここまでみていくと、消費者→転売ヤーに対して直接出来る事といったらぶん殴るくらいしかできないということですが、一応小売店→転売ヤーに対しては何かしらアクションが取れるかなという程度でした。
3. 古物商許可
ここまでは個人レベルの転売ヤー話でしたが、そもそもAmazonなどにいる高額転売業者は個人とは呼べなさそうですよね。
私はAmazonの形態に詳しいわけではないのでなんとも言えませんが
中古品販売を行なっているという見方をすると
「古物商許可とってないからそこで潰せるんじゃね」
って思い立ってググってみました。
しかし
古物商許可は基本すぐ取れるっぽいです。
うーん
だめっぽそ
5. 不正転売禁止法
お?なんか良さげな法律あるやん
これは2018年に公布された
いわゆる「チケット不正転売禁止法」です
正式には
「特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通の確保に関する法律」
といって、興行主=元売りの許可を得ずにチケットを転売目的で購入する行為に対して禁止するといったものです。
これは実際に逮捕者が出ていて、
人気アイドルグループ「嵐」のコンサートチケットを不
正に転売した者に対し、懲役1年6カ月(執行猶 予3年)、罰金30万円等の有罪判決
https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunka_gyosei/ticket_resale_ban/pdf/93720301_01.pdf
文化庁公式HP「チケット転売禁止法とは」
といった感じの話となっています。
ただこれはいわゆる「チケット」に限定したものであり、転売に使われる多くの嗜好品に対しては効力を成さないものなので、現状ではこの法律による転売対策はチケット以外では不可能でしょう。
結び
そもそも論、価格を釣り上げる転売というのは需要と供給において「価格を釣り上げても買う消費者がいる」ということが前提となって成り立ってしまうので、誰も買わなければ良い話なんですがね。
そうもいかないのが現状です。
転売目的の購入が多いせいで買い占めされて買えないんだ!って怒る気持ちは痛いほどわかりますし
私も憤慨しています。
ただ、現状の法律では少し難しい問題となっていますね。
ここで転売ヤーに対して攻撃しても、そもそも転売なんてやってる人間なんてはなから嫌われることをわかってやっている者たちなので
意味をなさないです。
むしろ、昨今の誹謗中傷の法律の問題もあるので、
あまり強い言葉を使わない方がいいかもしれません。
転売によって損を受けているのは消費者だけでなく、メーカーもあり得ます。
転売が多くて市場に出回らないため、売上は出てもそれによって離れたファンは戻ってきません。
有名なps5であれば、本体ばかり売れてソフトが売れないという問題もあります。
去年あたりに問題になったポケカは、本来ターゲット層にしたい子供に満足に行き渡らないことで普及が難しいだけでなく、ポケモンのブランドイメージまで損なわれる事態になりつつありましたね。
現在はかなり増版されているようで、
群がっていたクソキモ転売ヤーが減ってうれしいです。
最後に一言
転売ヤー死ね
これがダブスタ
熾野でした。